医師の採用について(どうすれば医師が採用できるか?)

稿日 20171202

投稿者 T.K

 

1)筆者が医師の採用に携わったA病院は、平成23年4月に258名であった常勤医師が平成24年4月には244名に減じ、当時マスコミからは「A病院から医師14名が脱走」と報じられました。

 

2)平成23年といえば大震災があった年で、A病院周辺でも津波や液状化現象による被害が発生し、それによる影響も懸念されましたが、筆者が退職予定の医師の何人かにインタビューしたところ、下記のような理由が挙げられました。

 

① 「理不尽な忙しさ」による消耗感

  (例)コンビニ診療、診療科間の負荷アンバランス、負荷と手当の不整合など

② 身近に指導してくれる先輩医師がいない

  (例)あまり年次の離れている医師には直接的な指導も仰ぎにくく、相談もしにくい。

③ 自分のキャリアプランのターニングポイント

  (例)より高い専門性を身に付けるために退職、もともと長く勤務するつもりはない。

④ 家族のライフプランのターニングポイント

  (例)子供の進学に便利な地域に転居、都会志向…

⑤ その他の不満と不安

 (例)住環境・地域環境への不満、大震災に伴う不安…

 

3)そこで理事長のリーダーシップのもとにA病院が取り組んだ主な施策は下記のとおりです。この結果、平成24年4月に244名に減じた常勤医師数は、平成27年4月には250名に回復しました。

 

① 「理不尽な忙しさ」の軽減、負荷と手当のバランス

  (例)一定の診療制限、繁忙手当、

② 自身の専門性を高める機会

  (例)症例の豊富さ、先進的な医療機器、指導体制…

③ 指導的立場の医師の採用

  (例)サーチ&スカウト型(紹介機関に未登録の医師にスカウトをかけるタイプ)による医師採用

④ 住環境の改善

  (例)医師専用マンションの新築

⑤ その他

  (例)後期研修プログラムの拡充、病児病後保育、子育て医師の柔軟勤務、新規医局開拓